2003年度 卒論 

コンビニ業界の研究

                              井上慎太郎                                   

目次〜コンビニ業界の追究〜

第1章:コンビ二業界に陰り

2章:セブンイレブンが最強集団であり続ける理由

第3章:コンビ二マニア

    1. コンビニ弁当は何故まずい?
    2. 8月の暑い最中に肉まんを売り始めるコンビニの謎。
    3. それでもあなたは、牛乳を後ろから取りますか?
    4. 万引きとの仁義なき戦い。
    5. 売れ残りの商品は何処へ。
    6. おでんの美味しい店の見分け方。

最終章:コンビ二はどこに行くのか!?

 今のコンビ二は間違いなく多様化してきている。そして、多様化は生物をあげるまでもなく進化の大きな証である。しかし、コンビ二はかつてほどの勢いはない。だが、今でも伸びていることも確かである。私は就職活動でセブンイレブン・ローソンの説明会に行った時に、人事の人がおっしゃっていたので間違いはないだろう。

 このように、私はコンビ二の過去から現在の実態(その中でもコンビ二業界売上高第1位を保ち続けているセブンイレブンージャパンを話の中心に)を調べあげ、後半はコンビ二マニアとしての裏話や消費者の人たちが普段何気なく思ってしまう問題や疑問を述べ、それについての追求をしていこうと思う。

 

 第1章:コンビ二業界に陰り

〜消費者からの支持は本物か?〜

 先日、コンビ二業界売上高第3位のファミリーマートが500店舗前後の閉鎖を発表したことはまだ記憶に新しい。これは、現在の店舗数5200店舗の約1割にあたる。実は不採算店舗の閉鎖は昨年でも業界全体で2200店舗程度は行われていた。セブンイレブンが約100店舗、ローソンも約350店舗を閉鎖している。しかし、こっそり静かに閉鎖し、それ以上の出店をすることで店舗数を増やしていたので誰も気にはならなかったのだ。ところが今回ははっきりと数字を発表したことにより、コンビ二各社の株価が軒並み昨年来安値を更新してしまうなど、人々に与えるインパクトは大きかったようだ。新聞や雑誌には「コンビ二業界に未来はあるのか!?」といった論調の記事が多く見受けられるようにもなった。右肩上がりの成長を近年続けてきたコンビ二業界も誕生から30年たった今、正念場に差し掛かっているというのが現状である。

 現在コンビ二は大手7社で32000店、中小を入れると52000店はあり、確かに飽和状態であることは否めない。しかも、ここ6ヶ月既存店の売上高はマイナスになっている。最大の原因は、コンビ二の稼ぎ頭となっているお弁当類やおにぎり類が、外食産業の大手マクドナルドのハンバーガー値下げや吉野家の牛丼の値下げに負けて伸び悩んでいるからである。コンビ二は今まで2度の再編期を迎えている。第1次再編は91年から97年、この時は中小チェーンが淘汰され大手のシェアが上昇した。そして、98年から現在にかけての第2次再編では、大手同士の戦いで限られたパイの奪い合いをし、それが既存店の状況に現れている。この結果はセブンイレブンの圧勝に終わると思われ、コンビ二業界に生き残れるのは2、3社といわれていることから、他社はセブンイレブンに勝つのではなく、業界に生き残れるかどうかが課題となっている。ローソンの筆頭株主が親会社のダイエーから三菱商事に変わり、ファミリーマートはすでに伊藤忠商事の傘下、サークルケイとサンクスは経営統合するなど、熾烈な2位争いが繰り広げられている。

 このような状況下に置かれたファミリーマートは1日の販売高が他のチェーンよりも低く、販売力を強化する必要があった。そのためには、売れる商品・店舗開発とともに、売れない店舗を閉鎖しなければ、チェーン全体のイメージが損なわれると判断した。その結果として大量の店舗の閉鎖をすることになったが、一方で、その当時には450店舗の新規出店も行われていた。この店舗を見れば、ファミリーマートの目指す方向性が見えてくるに違いない。

 しかし、コンビ二業界が抱えている問題点は、このような業界内の競争とは別次元のところにある。コンビ二は便利さを追求して、多くのサービスを追加してきた。公共料金等の支払いや宅配便の取次ぎ、ゲームソフトやチケット販売、ついには銀行のATMを置くようにまでなった。それらのサービスを利用するために来客人数が増えれば、ついでに何か買ってくれるに違いないという考えからである。しかし、現在のコンビ二の状況を見てみると、サービスだけを利用しているお客さんが多いことに気づく。実はコンビ二は本業のモノを売るという力が落ちてきていると考えてはどうか。その理由は多様である。デフレ経済の中、定価でモノを買うのが馬鹿らしいと思う人が増えてきたこと。大店舗の改正で深夜まで営業しているスーパーや雑貨店ができてきたこと。美味しくなくて高い弁当がライバルの外食産業による低価格競争の勢いを受けて売れなくなってきていること等…。昔のようにコンビ二に行くことが楽しみであると思えなくなっている。コンビ二はそろそろ定価販売を考え直す時期ではないだろうかと思う。いつの時代も本業がしっかりできていない企業に将来はない。コンビ二の弁当がいかに美味しく、そして安くなるかが、コンビ二の未来を占う試金石となろう。

 企業の経営者は、自社の業界に詳しいために、ついつい同他社のことばかり気にしてしまう。しかし、それではその業界自体に問題を抱えている時、業界の衰退に引きずられて企業存続の危機に陥るリスクを回避できない。もう少し視野を広く持って、自社の業界を取り巻く環境を客観的に見ることも必要なのである。

 

         〜2001年売上高ベスト3〜(図1)

        

「全図解一目でわかるコンビに業界」国友隆一:2000年:日本実業より

 

 

 

       〜1店1日当たりの平均客数〜(図2)

セブンイレブン

(968)

ミニストップ

(787)

ローソン

(771)

スリーエフ

(815)

ファミリーマート

(800)

ホットスパー

(522)

サンクス

(844)

ポプラ

(746)

サークルK

(744)

*単位:人

   「セブンイレブンの衝撃」 国友隆一:2000年:三笠書房より

 

第2章:セブンイレブンが最強集団

でありつづける理由

 セブンイレブンが最強であり続ける理由をいくつか調べていくうちに、おもしろいことに気がついた。それは他社には真似できない鈴木敏文会長(以後鈴木氏)の発想能力である。

 例えば、ボーナスだけは手渡しを続けているらしい。普通に考えれば銀行振込の方が管理しやすく効率もいい。経費も少なくすむ。しかし、その点、現金手渡しにするのは、用意するにしても渡すにしても時間がかかる。だが、汗を流したその対価を手にするという実感を持ってもらいやすい。お金の有り難みを肌で感じてもらえる。家でもその本人から家族に現金を手渡しすることによって、改めて家族の大黒柱に対する感謝の気持ちを持ってもらえる。と鈴木氏は考えているのだ。この論理はすごいと関心した。いわゆる1つの盲点な部分であると思う。

 他にもまだある。私はコンビ二で何も違和感もなく働いているが、「肉まん・あんまん」そして、冬のコンビ二にはなくてはならない存在の「おでん」を考案したのも鈴木氏なのである。

 1974年は、セブンイレブン1号店が出店した年だが、当時は、今以上に日本人の間に欧米のスタイルに対する憧れがあった。しかも、アメリカで開発されたコンビ二という業態を導入したのである。当然、品揃えもアメリカのセブンイレブンで扱っているものを参考にした。(1号店で1番売上のよかった品物はサングラスだったらしい。)しかし、セブンイレブン・ジャパンの鈴木敏文会長は、このような品揃えに疑問を持った。アメリカへ赴いてサウスランド社で研修を受けている最中、小売業はドメスティックでなければならないと気づいていたからだ。同じ消費者といっても、国によってニーズが異なるから、そのニーズに合せて対応する必要があるということだ。もちろん、サウスランド社から学んだことも多い。会計システムもそうだし、コンビ二は買ってから1時間以内に食べるファーストフードを中心に品揃えした方がいいといったことだ。ただ、アメリカのセブンイレブンは、まずい冷凍ハンバーグなどえお取り扱っており、そういう作る側の都合に合わせた対応にも疑問を感じていた。日本人に合うドメスティックなファーストフードはないか。ずっとそう考えていた鈴木氏は、みんなで商品政策・商品計画について議論していた時、突然、あんまん・肉まんを扱うように提案する。「10数人で会議をしている時に意見を言ったのですが、みんな、笑いましてね。今ほどじゃないけど、私は甘い物が好きだったんです。それをみんな知っていましたから、自分で甘い物が好きだからそんなことを言うと言われました。肉まんやあんまん、あれは日本の駄菓子屋の店頭にある商品だと。それをアメリカからきたコンビ二に並べたら、非常に印象がよくない。それなのになんでわざわざ、あんまん・肉まんを選ばないといけないのだと。それでいくら説明しても納得しないんです。」と鈴木氏は述壊する。もし、私がこの会議に参加していたとしたら、恐らく反対派だったはずにちがいない。しかし、最終的には実験することになり、福島の二本松店で扱ったところ、鈴木氏の予想通り売れに売れたのである。そして、現在ではどのコンビ二チェーンでも、あんまん・肉まんは定番商品になっている。

 次に、あんまん・肉まんに引き続きコンビ二の定番となったのは「おでん」である。しかし、おにぎりと同様アメリカ生まれ、時代の最先端をゆくコンビ二という箱の中で、あえて古臭いイメージがあったおでんを導入することも四面楚歌だったらしい。すぐれた経営者とそうでない経営者の違いはどこにあるのか。その差は色々ある。

 例えば、明日から今を視ることができるか、今日から明日を眺めることしかできないかの違いがある。リーダーでも同じである。

 

 鈴木氏がリーダーシップを取って、創業期におにぎりやおでんを導入した際にもこれは当てはまる。順序からいえば、おにぎりや弁当を導入し、それからおでんも扱っている。当時、おでんには古臭いイメージが強かった。遠足や運動会、災害字の炊き出し以外にはあまり食べない。懐かしいおふくろの味というように、懐かしい食べ物として位置づけられていた。弁当も似たようなものだ。商品としての弁当のイメージは冷たくて、しかも、おいしくない駅弁のイメージが強かったのである。

 さらに、マスコミは日本人の食生活の変化を盛んにとりあげていた。米食からパン食への移行である。このままいけば、パンが主食になると危機感を煽らせた。食生活の欧米化がその背景にある。さらに、コンビ二はアメリカの企業が開発した新しい業態である。そうである以上、おにぎりや弁当をとりあげるくらいならパンを導入するのがニーズの変化に対応したことにならないか。鈴木氏が重要視する消費者ニーズの変化に逆行していないか。その点、鈴木氏は冷静沈着に世の中の変化をみていた。確かにパン食は増えている。しかし、ご飯を主食としている日本人は圧倒的に多い。それに、日本人はもともとご飯が好きな民族である。長い歴史の中でずっと米が主食だった。そうであるなら、おにぎりや弁当をもっとおいしくすれば、広大な潜在需要を顕在化できるはずだと。自分達が手を加えることによって需要が顕在化する姿が―あたかも体験したかのごとく―見え、そこから現在を見ると、現在の問題点がハッキリと分かる。鈴木氏の思考回路を推測するとこうなる。弁当も同様である。

 おでんについては、おにぎりや弁当よりももっと古めかしいイメージがつきまとっていた。それをセブンイレブンで導入するについては、おにぎりや弁当の導入以上に「何故、おでんなのか。」という疑問が社内であったはずである。おでんは主に屋台で売っていた。そのせいで商品のイメージは低かった。だから、屋台で扱っているおでんを売るとコンビ二としてのセブンイレブンのイメージが悪くなると考えたのだ。しかし、鈴木氏は、おでんは日本人ならではの食べ物であり、それに手を加えて品質を向上させ、セブンイレブンで扱うことによってイメージアップを図れば、広大な潜在需要を顕在化できると仮説を立てたのである。「だから、極端な例ですが、砂漠へ行って酒を売るのと、水を売るのとではどっちが楽といえば水を売る方が楽でしょう。もの凄い需要がありますから。ところが、水がたくさんあり、緑の多いところにいて考えると、そうは思わない可能性があります。」と鈴木氏は言う。その水も、冷やして売るようにしたら、引く手あまたになるはずだ。それと同じことなのである。

 このような視点による商品開発は今も続けている。袋入りの駄菓子などもその1つである。最近は1回で食べ切ることができるタイプのお菓子を学校や職場に持っていって食べる若者が増えている。通勤や通学、営業の為の移動中に口にしたりもする。そこで、各カテゴリーのトップメーカーと組んで統一したイメージの小袋菓子を販売している。共通していることは、@食べ切り適量サイズ、Aおいしくて安全、B統一感のあるパッケージ、売り場作り、CNB(ナショナルブランドにはない品揃えの充実)、D各カテゴリーをバランスよく品揃えし色々な種類を選べる楽しさをコンセプトにして開発したものだ。

まさしく、セブンイレブンはコンビニの先駆者なのである。

 

 

第3章:コンビニマニア。

 第3章はコンビニマニアと題しているが、コンビ二について消費者の人たちが普段何気なく疑問に思っている事や、私自身のマニアぶりを述べていこうと思う。

@:「コンビニ弁当は何故まずい?」

 業界人の私が言うのもなんだが、コンビニの弁当は「まずい」。一昔前に比べれば、かなり良くなったと思うが…。「まずくないが、うまくもない」という表現が一番正しいかも知れない。コンビニ弁当がうまくてうまくてしょうがない人は、かなりのC級グルメ人だろう。もっと舌を肥やた方が…。同じ弁当でも、持ち帰り弁当(H..亭とか)や駅弁・仕出し弁当は、そこそこの味なのに、どうしてコンビニ弁当は、美味しくないのか。その謎に迫ってみる。

 

 キーワードは、「温度」と「時間」である。

本題に入る前に、まず品質(鮮度)管理について、話さなければならない。食品の品質管理とは、あからさまに言うと、「食中毒」を如何に起こさないかと言うことである。食中毒は、ある程度、まとまった量の食中毒菌が体内に入ることで起こる。1匹や2匹、10匹や20匹(匹と呼んでいいかどうかわからないが)入っても、食中毒が起きることはないだろう。(白血球が退治してくれる為。)食中毒はあるまとまった数(菌によって違うが)の菌が入ることで起こるとされている(正確には菌の出す毒素にやられる訳だが)。菌の数が増えるには、「温度」と「時間」が必要である。(他にも栄養分とか湿度とか、いろいろ要素はあるが)菌にも活動しやすくなる温度がある。菌によって様々だが、一般的には暖かいほど活性化する。そして、時間経過と共にねずみ算式に増殖して行くのである。

〜温度〜

 さて、コンビニの弁当の管理温度、(お弁当を保管する温度のこと)これは、チェーンによって多少の差はあるかと思うが、だいたい摂氏18度±2度に設定されている。意外と高い。牛乳などのチルド食品がだいたい5度±2度だから、かなり暖かい温度である。ちょうど、18度というと赤ワインの飲み頃の温度。少し生ぬるいと言った感じだろうか。この温度は、結構厳重に管理されている。

「弁当工場」→「配送センター」→「配送車」 ここまでは外気に一切触れることなく運べる設備が整っている。外気に触れるのは、店先でトラックから降ろす瞬間から弁当の陳列ケースに移されるまでの間だけである。

 なぜ、18度なのかというと、「ご飯」と密接な関係がある。もし、「ご飯」を5度で保管したらどうなるかというと、固くてとても食べられない。電子レンジで温めたとしても、少し固さが残ってしまう。「ご飯」がもっとも美味しく食べられ、ある程度保管がきく温度が18度なのである。という事は、5度で保存するより、18度で保存する方が菌にとっては活動しやすいということになる。

〜時間〜

 1度は、コンビニの前にトラックが止まって、お弁当の配送をしている風景を見たことがあると思う。通常、1日3回あのような配送がある。ここで、お弁当の製造から消費までの流れを見てみる。

[弁当工場]→[コンビニの配送センター]→[店舗]→[消費者]

製造された弁当は、一旦コンビニの配送センターに集められる。そこで店舗別に荷造りされ、店舗へ納品される。ここで注意しなければならないのは、賞味期限の設定である。

賞味期限は、実際に消費者の口へ入るまでの時間を計算する。レジを通る時間ではなく買ってから、実際に食べるまでの時間である。(だいたい2?3時間ぐらいの設定だったような気が…。)店舗で陳列する時間をある程度確保し、配送にかかる時間を考慮し、逆算すると、製造から実際に食べられるまで最長で24時間程度が必要となる。お弁当だっていきなり、たくさんできるわけではない。最初に出来たお弁当と最後に出来たお弁当との時間差もある。結構複雑な計算がありそうだ。

〜まずい訳〜

 以上の点から、コンビニの弁当は18度で24時間、品質を保たなければならない。まず、こういう高い温度では使えない食材がたくさん出てくる。無添加食品とか、そんなお上品なことは言ってはられない。このようなご時世なので添加物・防腐剤の類は極力使わないようにしてあるとは思うが、そのように言った場合、酸味を強くするとかで抗菌をするわけである。これでは美味しくなるはずがない。

 しかし温度に関しては、駅弁・仕出し弁当と条件は、ほとんど変わらない。では、なぜまずいのか?これには時間が関係している。駅弁の場合、全部の駅に売店がある訳ではない。1つの工場が卸している駅は、せいぜい数駅程度だろう。しかも自社のトラックで直接運ぶ。だから、配送にかかる時間が断然短く設定できるわけである。つまり、製造から消費までの時間がコンビニの半分以下で抑えられるわけで、その分、美味しい食材の使用が可能になる。仕出し弁当などは、もっと条件が良くなる。

 外食産業に至っては、調理から消費の時間が数分から数十分である。たとえラーメン屋のおばちゃんが、スープの中に指を突っ込み、持ってきたとしても、食中毒になることはまずあり得ない。菌が増える前に食べてしまうからである。ちなみに、コンビニの弁当工場は、結構近代的な設備が揃っている。手や腕は、完全消毒・調理配膳は手袋着用で素手では作業をしない。工場は外気と遮断されており、中に入るにはエアーシャワーや消毒施設を通ったりと、まるでハイテク工場並みである。こういった事情で、コンビニ弁当がまずいのである。

A:「8月の暑い最中に肉まんを売り始めるコンビニの謎」

 今年も、お盆前から肉まんの販売を始めた。しかもお盆過ぎには販売を始めよとの本部からの指令が…。まだ、アイスクリームが飛ぶように売れているこの時期に、肉まん売っても買う人がいるのか…。今回はその謎に迫ってみる。

 まだ気温が30度を超える時期に、肉まんが売れるか?というと「売れないことはない」である。真冬の最盛期に比べると微々たるものだが売れている。ただし、売れ数以上に廃棄数が出てしまう。なま物であるから、いつまでも売れる訳ではない。加温から4時間が販売許容時間とされている。それを過ぎると、ごみ箱(もしくは店員の胃の中に…)という運命である。FF(ファーストフード=肉まんやおでん、からあげなどお店で調理するものを、FFと呼ぶ。)は、一般の食品に比べ原価率が低く(=粗利益率が高い)設定されているので、多少の廃棄を出してもなんて事はないのだが、この時期の肉まんはそれを考慮に入れても大赤字である。特にメーカーや本部から粗利益の補填があるわけではなく、売れば売るほど赤字なのである。

 では、なぜ売るのか?この時期に肉まんを売り始めるのは、心理学の言葉を借りれば「刷り込み」とでも言うのか。来店客に、肉まんを販売している姿を見せることで、買う気はなくても深層心理の中に焼き付けてしまおうというものなのである。寒さはある日突然やってくる。そのある日に、「あの店で肉まんを売っていた」と言うことを思い出させれば、成功なのである。売っているかどうかわからない店よりも、確実に売っているお店を消費者は選ぶ。だから寒くなってから肉まんを売り始めては遅すぎるのである。だから「その日」のために、肉まんを作り続ける。統計では、早い時期に売り始めた店の方がピークでの販売数が断然と多いらしい。この時期の、廃棄は先行投資というわけなのである。目先の利益を優先する、「しぶちん」の経営者はコンビニには向いてないと言うことにある。

 コンビニの冬の顔のもう一つに「おでん」がある。こちらも肉まん同様、販売が始まり出した。ところが、最近ではセブンイレブンのように「おでん」を1年中販売する所も登場してきた。個人的には、夏におでんというのは勘弁していただきたいが、天下のセブンイレブンが売り続けていると言うことは、それなりに売れているということなのだろう。肉まんも年中販売となると…。このままだと、日本人の季節感は、どんどん薄くなっていきそうだ。

B:「それでもあなたは、牛乳を後ろから取りますか?」

 コンビニやスーパーなどで牛乳を日付を見て後ろから取っている光景をよく見かける。主婦はもちろん、以外と男性にも多い。「私は買い物上手、賢い消費者よ!」と思っていらっしゃることだろうが、実はそうではない。そのような命知らずの行為は今すぐにでもやめていただきたい。本人ならず、自分自身の家族の命まで危険にさらすまねは、是非やめていただきたいのである。

 なぜ、牛乳を後ろの方から取ると命の危険があるのか?それをこれから、説明しようと思う。牛乳は通常、その日に製造したものは、その日のうちには販売しないように保健所から指導されている(ただし自治体によって異なる)それは、何故か?牛乳が菌に汚染されていないか検査する為である。それを検査するには、ある程度の時間が必要なので、そのような措置がとられているのである。もし、汚染が確認されれば商品の回収が行われると言う段取りだ。先の、雪印の事件で「ブドウ球菌」などという定番中の定番の食中毒菌の汚染が発見できなかったというのは、このことからして非常に不可解な出来事である。日々の検査さえ、ないがしろにしていた企業の体質が伺える。雪印の例は、工場での2次的な汚染の例である。この制度の狙いは、もう一つある。牛である。清涼飲料水とは違って、牛乳は生きた牛の体内で生産される。牛だって風邪をひけば、病気だってする。もし、重大な伝染病にかかっていたらどうだろうか?もちろん、牛乳も汚染されるだろう。毎日毎日、日常化した検査態勢の中、これらの病気が見逃されることは無いだろうか?ましてや「狂牛病」など未知の伝染病などを発見することが出来るだろうか?そう考えると、メーカーを過信することは、非常に危険なのではないだろうか?となれば消費者のとり得る行動は、自己防衛しかないのである。一番簡単な自己防衛策とは、それは出来るだけ古い日付の製品を買うことだ。そのぶん伝染病などの菌に汚染されている可能性は低くなる。味が悪くなると思われるだろうが、2?3日の製造日の差が解るほど鋭敏な味覚を持った人がいるとしたら、超ソムリエ級の味覚と嗅覚を持つ人であろう。もし、そんな人がいるとしたら、迷わず紙パックの牛乳を買わずに瓶牛乳を買うようにお薦めする。そんな鋭敏な味覚があるのなら、紙パックの牛乳は紙臭くて飲めないはずだから。

 話は変わって、最近急に、食品の回収騒ぎが増えてきた。もちろん雪印・日本ハムの事件の影響である。これは、異物混入や不良品が急に増えた為ではない。急にマスコミが取り上げたためだ。商品の回収騒ぎなどは、年中行事なのだ。私の関係するチェーンでも、おにぎりの中からボルトが出てきたことがあった。おにぎりの製造というのは、ほぼ全自動で行われる。そのライン上で炊いたシャリを型に入れる前に、かくはんをするのだが、ハリネズミのような針の生えたドラムでシャリをかくはんするところを想像していただきたい。そのドラムのどこかのボルトが欠落しておにぎりの具になってしまったようだ。その後おにぎりの製造ラインには金属探知器がつけられたそうな。もう10年以上前のお話を店長から聞いた事がある。今なら大騒ぎになっていただろうに。雪印・日本ハム事件もそのうち誰からも忘れ去られるに違いない。

 これからは消費者が自己防衛をしなくてはいけない時代になったのではないかと思う。いかに安全な食品を選択するかが「賢い消費者」の第1条件である。

C:「万引きとの仁義なき戦い。」

 「万引き」、後を絶たない。よく、デパートやスーパーなど、万引きされる分を予算で相当額とってあるとか、反対に万引きされるような店でないと駄目だとかの話を聞いとことがある。本当にそうなのだろうか?確かに会計上、非棚卸し月の損益計算書上に「引き当てロス」などの名目で、不明ロス(帳簿上の在庫と実際の在庫との差額=不明なロス額)を計上する場合がある。これは、会計上の便宜策で毎月の損益が一定になるようにするためのものである。(流通業の棚卸しは、通常3ヶ月?6ヶ月に一度な為)また、万引されやすい店=管理能力の低い店 という考えが世間一般の常識だろう。万引きは、1円でも許さないというのが実際の姿である。

 さて、万引きだが、法律的には窃盗罪である。もし暴力を伴えば強盗となる。話は横道に逸れるが、この2つ、警察側の対応が全く違う。万引きの場合、通報後、近くに常駐の派出所があればそこから、なければ署からパトカーに乗って制服警察官がやってくる。これが強盗となると、警察署のありったけのパトカー、覆面パトカー、来る人も制服警察官ではなくて、私服の刑事や機捜(機動捜査隊)、鑑識、マスコミとえらい騒ぎになる。

 話を戻して、私の店の場合、店長が見つけるとバックルームで万引き犯と話をしている。初めての場合は通報しない方が多い。しかし、2回目や店長の言う事を聞かない犯人は、盗んだ物の大小に関わらず、すべて警察に通報という形をとっている。その後、立件するか、示談にするかは、警察官と相談して決めている。注意しなければいけないのは、痴漢と一緒で万引きは、現行犯でなくてはならないと言うことである。しかも店外に出たところを確保しなければ、立件出来ない。防犯ビデオもあるが、証拠能力は低い。まずビデオだけで立件するのは不可能なのである。また、誤認逮捕にも注意しなければならない。捕まえたけれど物が出なかったということは、絶対に避けなければならない。本当に誤認だった場合は人権問題に発展するので…。従って、怪しいというだけでは確保できない。確実に盗った瞬間を目撃しなければ確保には動けないのである。

 さて、いかに万引きを見つけるかということだが、業界生活が長いと、一目で怪しい人間を見分けることが出来るらしい。私の店長の場合は、長いこと経営をやっているので入り口を入った瞬間に、ほぼ見分けることができるらしい。(私はまだそのような能力を習得していないが…。)

 万引き対策には2つある。1つは、私が働いている店のように捕まえることである。警察に通報すると学生などの場合、学校にも知れ渡り、その噂は学校全体に行き渡ると言うことになる。確かに、その後はしばらくの間、静かな平和な日々が続く。抑止効果は抜群である。しかし、喉元過ぎれば…。でしばらくするとまた、不審な動きの輩が現れてくる。これの繰り返しである。

 もう1つは、万引きを未然に防ぐという方法である。万引きしようとしている奴は、確かに怪しい。ここから店員のアプローチを始める。まず、そいつの周りで仕事を始める。商品の陳列を直したり、棚の清掃をしたり。対象が移動すればそれについて店員も移動するのである。対象があきらめるまでこれを続ける。これの繰り返しで、この店はガードが堅いと思わせる作戦である。ただ、馬鹿なのか、対象は自分がマークされているのを全然自覚してない時もある。その時は、恐らく緊張してドキドキしてるはずなのだが、しばらくすると自分は全然気づかれてないと思ってしまうのだろう。

 この2つを組み合わせるのが私が働き出して教わった一般的な対策である。しかし、捕まえても捕まえても、次から次へと現れてきくる。一般的にいたちごっこである。

D:「売れ残りの商品は何処へ」

 コンビニで働いていると言うことで、知り合いになどに必ず聞かれるのがこの質問である。コンビニの扱う商品は多種多様である。一言では答えられないということで商品種類に分けて述べていこうと思う。

【弁当・サンドイッチ他、生鮮食品】

 日配食品とよばれる品群。パン・惣菜・牛乳などもこの部類である。

これは、チェーンで決めた販売許容日(または時間)というのがあって、それに従い売れ残りは廃棄処分されていく。コンピュータに廃棄登録処理した後、ゴミ箱行きである。かなりの量を大量に捨てている。店長に聞いた話だが、昔、途上国の留学生がコンビニでアルバイトしている時、良心の呵責に耐えられなくてやめていったなどという逸話もある。廃棄する商品は、現在のところ、全て燃えるゴミとして産廃業者で有料で処分している。

将来的には、弁当を例に取ると、

 弁当の中身 → 家畜の飼料

 弁当容器  → 再生処理して再びプラスティックや燃料などにリサイクル

というような研究が現在進んでいるらしい。

【加工食品・菓子】

 加工食品というのは、カップラーメンや缶詰やレトルトカレーとか、常温で管理できる食品のことである(業界ではドライ食品とも言う)日配食品に比べると格段に賞味期限が長い為、賞味期限切れになることは希である。希ではあるが、その場合も廃棄処分となる。この部門の商品は、廃棄処分が少ない代わりに、商品入れ替えのための見切り処分というのが良く行われている。コンビニでは、毎週たくさんの新商品が採用されている。その新商品をコンビニの限られた売場に並べるには、売れない商品をどんどんカットしていかないと、新商品の導入は進まない。しかし、カットするのは売れない商品だから売場から売れてなくなるのを待っていてはなかなか新商品を導入することは出来ない。そこでカット商品を値引きして格安で売ってしまおうというのが見切り処分のことである。よくレジカウンターの横などで「○○%引き」などと書いて安く売ってあるのが、見切り処分というものです。これは、怪しい商品ではなくて単なる入れ替えのための処分品だから、安心して買える商品なのである。難を言えば「売れ残り」、「あんまり売れなかった商品」なので、いまいち商品が多いが…。品質が悪いとか、傷物とか、そういう物ではないことは確かである。

 

 

【雑貨】

 雑貨には、賞味期限と言う物がない。(有効期限というのがある商品はあるが)問題がなければ半永久的に売れるわけだが、上でも述べたように新商品の導入や、同じ商品でもリニューアルなどがあって見切り処分をしなくてはならない場合もある。雑貨の場合は、季節の変わり目に入れ替わることが多いので気を付けて見ていると、掘り出し物に当たることもある。

【雑誌・新聞】

 雑誌・新聞は委託販売商品であるので、売れ残った物は全て返品処理をする。(売れた分だけ問屋に代金を支払うという考え方)だから売れ残っても、お店の負担はないということになる。たまに、「本は捨てるのですか?」と聞いてくる人もいるがそんなことはない。ちなみに、雑誌の注文というのは原則的には店でやっているわけではない。本の問屋の方が売り上げデーターや返品状況を考慮して配本を決めている。(ある程度の修正や新規配本注文はできるが)だから、お店に行って「あの本入りませんか?」と言っても急にどうなるもんではないのである。

【返品と言う事の考え方】

 売れ残りは返品するのではないか。と思っていた方、意外と多いと思うのだが、他の流通業はいざ知らず、コンビニ業界においては、商品は「買い取り・返品不可」というのが大原則である。ただし、前述の雑誌・新聞を除く。また例外として制度化粧品(せいどけしょうひん→コンビニでいうと、カネボウと資生堂の化粧品のことである。資生堂もカネボウもよく見ると化粧品も2種類あって、制度化粧品と一般化粧品とがある。制度化粧品というのは、一応ライセンス商品でメーカーと契約しないと販売することが出来ない。こういう話は難しいので、例えるとデパートの売場でお姉さまが対面販売している商品でコンビニにも置いてるある商品の事である。)や、コンビニ本部が事前に返品可の条件で導入した商品を除く。

 コンビニの1店1店の売り上げはたかだかしれている。また、売場も狭いため一度に多くの商品を仕入れることが出来ない。従ってコンビニの商品取引は「多頻度少量納品」という形態を採らなくてはならない。メーカーや問屋にとっては非常にいやな形態なのである。(→流通コストの高騰)そういった悪条件の中である程度の原価率を確保するには、「買い取り・返品不可」というのは原価を下げるための必須条件なのである。

 では、廃棄や見切り処分で値下げした商品代は誰が負担するのか。これは、無情にもお店(=経営者)と言うことになる。廃棄商品には、経営者の血と涙がしみ込んでいるのである。

【廃棄という事の考え方】

 廃棄というと、別名「ロス」無駄な物と考えがちである。が、しかし、この業界ではそうは考えないだろう。例えば、10万円のお弁当を仕入れて、それがちょうど全部売れたとする。「これは凄いおいしい発注だ。」と思ってしまいそうだが、これではいけないのある。もし12万円の仕入れを行っていたら、もう少し売り上げが上乗せできたかも知れない。これがコンビニの考え方である。大手コンビニチェーンが何億円も使って、ストアマネジメントシステムを開発(これはお店にあるストアコンピュータに載るシステム)しているのが、これである。いかにデータを分析して発注勧告を行えるかが鍵となるのである。上の例で行くと、12万円の仕入れを行った結果、いくらか廃棄が発生してしまう。というか、いくらか廃棄が出るような発注を心がける。廃棄は、無駄ではなく「投資」なのである。これがコンビニの考え方である。

E:「おでんの美味しい店の見分け方」

 コンビニの冬の顔、「おでん」

コンビニの「おでん」は「おでん」と言っても、居酒屋や屋台の「おでん」とは、まったく違う次元の食べ物になっている。私の地元の「おでん」は、汁を継ぎ足し継ぎ足して味を深めていくお店が多いようだ。色も味も濃く仕上がっている。(具体的には、汁は半分を捨てて半分を残し、それに新しいつゆを足して次の日の仕込みをするといった形)

 対して、コンビニの「おでん」は、吸い物のような薄く透明な汁である。(地方によって違うかもしれないが)味もどちらかというと淡泊だ。おでんはこうでなくてはならないという定義がないので、それはそれでいいのかもしれない。

 では、コンビニの「おでん」の種明かしをしてみようと思う。つゆは、濃縮されたものをお湯で薄めて作る。10年前以前は、荒節のパックを煮てだしをとるところからやっていたらしいが、現在はだし入りタイプなので簡単である。最低1日1回、つゆは作り直す。おでんの入れ物を洗う作業は中々時間がかかって疲れる。具は、冷凍で問屋に保存されている。納品時に解凍されてお店に届き、あらかじめ下味が付けらている。また、作ってから販売して良い時間は、6?8時間程度(チェーンによって異なるが)となっている。濃縮のつゆをお湯で薄めて、届いた具をその中に入れて、「はい!出来上がり!」である。

おでん屋さんみたいに、煮込むという事はあまりやらない。なじませると行った感じが適した表現である。簡単にできる。ろくに家事をやったことのないアルバイトでも出来る。以前は、練り物の油ぬきとか、いろいろ面倒くさいことをやっていたが、今ではとても簡単に作ることが出来るのである。

 タイトルの「おいしい店の見分け方」だが、調理自体がとても調理と呼べるレベルの物ではないので、この段階で、おいしい・まずいの優劣がつくことはほとんどない。

 しかし、実際には「おいしい店」「まずい店」は存在する。何が違うのか?実は、コンビニのおでんは作ってから30分?1時間ぐらいが一番おいしいのである。個人的な主観だが。まだ、ちくわなど白さが残った状態ではあるが、それはそれでいい感じだと思う。実は、おでんを作った瞬間から、どんどんつゆの劣化が進行していく。よくコンビニに入った瞬間、酸っぱいような、おでんの臭いを感じたことがあるだろう。これは、つゆがいたんでしまった臭いである。そういう時のおでんは買わない方がいいと思う。一番の劣化の原因は、温度にある。低すぎても、高すぎても、あの酸っぱいような臭いがする。沸騰させてもだめなのである。一気にいたむので。70〜80度に保つ必要がある。また、時間とともにつゆが蒸発して少なくなるので、こまめにお湯を足して具が空気に触れないようにしなくてはならない。この2つのことを守れば、比較的長時間、おいしい状態を保つことが出来るのである。しかし、ずっとおでんを見張っているわけにはいかないので、レジを打ったり、商品を補充したりする合間を見て、これをやらなければならない。結構大変である。

 余談ではあるが、コンビニのおでんの劣化の原因は、鍋に由縁しているのではないかと思う。まず、鍋がステンレス製の薄手の物なので、熱効率が悪いこと。次に、電熱式であること。熱伝導の悪い鍋で電熱式なため、電極周辺の温度が非常に高く、その他の部分の温度が低い。煮物をするには最悪な環境である。

おでんのおいしい店=店員がこまめに気がつく店=店舗管理レベルが高いお店だろう。

 

 では、最後に一目でおいしいかどうかを見分ける方法を述べてみる。

※具が少ない店は×。

まず、鍋の中に具が泳いでいるような店は駄目である。売れないから数を作らない→なおさら売れなくなる→どんどん数が減る。このような悪循環のお店のおでんは美味しくない。管理が良いと予想される。具が所狭しと並んでいる店は、まず外れはないと思う。まず経営者の意気込み自体が違う。 

※ふたをしている店は×。

おでん鍋に、ふたをしているような店も駄目だと思う。まず、売る気があるのだろうか。ふたをしてしまうと、温度が上がってしまい沸騰するおそれがあるので火をかなり小さく落とす。そうするとつゆが、何故が真っ黒で濃くなることが多いようだ。まずおいしくはないだろう。

※つゆの透明度が高い場合は○。

つゆが澄んでいる場合、作りたてか、そうでなければ温度管理が完璧であることを示す。きっといい匂いが鍋の周りを包んでいることだろう。買っても間違いないだろう。

※鍋の周りの清掃が行き届いているか?

年々、若い労働力の質が低下している。少し昔なら絶対雇わない。といった人も雇わなければならないご時世である。鍋周りが汚い店は、敬遠した方がよい。

   

 

最終章:コンビ二はどこへ行くのか?

 最終章は題名の如く、新たな規制緩和のもとでのコンビニ戦略を見ていきたいと思う。

「売れるものだけを売る」

 徹底したこの戦略で、その名のとおり「便利さ」(コンビニエンス)を追求するコンビニ商法。それぞれの本部が全国5万店の加盟店と結ぶコンピューター・ネットワークは、いまや日本人の生活を左右するまでに成長している。新たな規制緩和のもとでコンビニはどこへいくのか。

「コンビニ銀行」

大手コンビニのサークルケイ・ジャパンのサークルK「よもぎ台店」(名古屋市名東区)には、東海銀行のATM(現金自動預け払い機)が設置され、平日の昼間でも利用客が列をつくり、銀行の一角のようである。サークルケイでは店の売上を毎日、ATMから銀行口座に入金する実験に乗り出している。大手コンビニのなかでサークルケイがATM設置では先頭を走っている。97年3月末には18店舗だったが、近年の大蔵省によるATM設置要件の規制緩和を受けて加速されると思われる。業界ナンバー1のセブン‐イレブン・ジャパンは金融プロジェクトを発足させ、「ビッグバン」をにらんで扱う金融商品やサービスのあり方を探っているといい、「コンビニ銀行」を戦略に入れているといわれている。郵便局より身近になったコンビニが「セブン・イレブン銀行」や「ローソン銀行」と言われるようになっても不思議はないだろう。すでに電気、水道、ガス、電話等の公共料金の徴収代行はいまやコンビニの定番サービスとなっている。さらに、外国為替管理法改正で、コンビニでも外貨の両替業務ができるようになる。

「サービス多様化」

コンビニは約30坪の売場に、食料品を中心に日用品約3000品目の商品を並べ、365日、24時間営業である。売上の7割以上を占める食料品の中でも「弁当、おにぎり」が勝負どころ。各社がしのぎを削っている。加えて、サービスも多様化。通信販売のカタログ販売や代金支払い、お花の注文、イベントなどのチケット販売はもちろん、規制緩和を受けてパック旅行の販売も始まり、4月からは医薬品も一部販売できるようになった。 また千葉県市川市ではローソンの市内店舗とサンエブリ市川駅前南口店で住民票の受け渡しの試行を始めている。

「情報の最先端」

コンビニのレジスターは単なる「銭箱」ではなく、今や「情報の最先端」。本部を頭脳にたとえるなら目であり触覚である。商品はすべてバーコードで管理され、レジスターには商品の情報に加えてお客の性別、年齢層なども店員によってインプットされている。何時何分にどこの店で何を何歳ぐらいの男性または女性が購入したかが、瞬時に本部に送信され集計される。このデーターが卸、製造メーカーとの有力な取引交渉の武器となっている。店に設置されているコンピューターを作動すると、何時現在、どういう種類の弁当が何個売れて、どれだけ残っているかなど瞬時に分かり、気象情報も同時に取り込まれて、天候に見合った売れ筋が時々刻々と予測できるシステムである。コンビニの24時間営業の秘密もここにある。例えばローソンの場合、弁当の配送は1日3回転するシステムで、午前2時、8時、午後2時に発注する。深夜や早朝に配送されるため、加盟店はどうしても24時間営業が必要となるのだ。配送車にはアンテナが取り付けられており「今、どこをどう走っているか」は完全に管理されている。まさに流通業界の「人間かんばん方式」である。夫婦2人を中心とするコンビニ店舗のサービスにはおのずと限界があり、本部が「利便さ」のみを追求して多様なサービスを加盟店に押しつけるなら、本部との矛盾が大きくならざるをえないだろう。

 

 終わりに:以上で私「井上慎太郎」の卒業論文は終わりである。この卒業論文を作成する機会がなかったら、私はここまでコンビニという物を深くは研究しなかっただろう。

いざ論文を書き始めると意外と楽しく、スムーズに作業が進んだ。知っていることはより詳しく理解できるようになれたし、知らなかったことにも詳しくなれた。卒業論文が出来上がった時、やはり私自身にはこの題材があっていたのだと感じた。

しかし、まだまだ解決しないといけない問題や将来の展開には不安は多々あるのは事実である。もし何らかの問題が浮き上がった時に、その場しのぎの解決策や対処ではなく、数年後の日本の状態を予想した上での解決策や対処ができるようになれば、この先もまだこのコンビニ業界は生き残ることができ、また発展もできると思う。

来春からは社会人となり、学生時代に精を出していたコンビ二でのアルバイトも終止符を打ち寂しくはなるが、この世の中にコンビ二がある限り、私はいち『コンビ二FAN』として、これからも大いに活用していきたいと思う。

〜引用文献目録〜

(1)『現代コンビ二商法』近藤忠孝、小山潤一:2000年:かもがわ出版

(2)『コンビ二裏マニュアル』浜崎和夫:1995年:データハウス

(3)『コンビ二銀行・セブンイレブンの野望』舘沢貢次:2000年:エール出版

(4)『コンビ二・ドットコム』加藤直美:2001年:商業界

(5)『コンビ二の雑学―知っててよかった』佐藤治彦:1997年:オーエス出版

(6)『コンビ二の光と影』本間重紀:1999年:共栄書房

(7)『コンビ二・フランチャイズはどこへ行く』本間重紀:2001年:花伝社

(8)『コンビ二本部FCチェーン設立マニュアル』池田安弘:1997年:ぱる出版

(9)『ズバリよいコンビ二わるいコンビ二』舘沢貢次:1998年:ベストブック

(10)『セブンイレブンの衝撃』国友隆一:2000年:三笠書房

(11)『セブンイレブン流心理学』国友隆一:2001年:三笠書房  

(12)『全図解一目でわかるコンビに業界』国友隆一:2000年:日本実業

(13)『よくわかるコンビに業界 最新版』国友隆一:1997年:日本実業

                           以上、著書名順